急拡大するVPP市場、どこに参入すれば市場性を確保できるのか?
VPPビジネスの「制度」と「市場構造」、そして、「メリット」と「リスク」を理解し、自社の新たな収益源を創り出す
国が推進している新たな電力取引の形態の一つに、VPP(バーチャル・パワー・プラント)があります。大規模な発電所からの供給だけに依存するのではなく、工場や家庭に設置された太陽光パネルや蓄電池など、分散型のエネルギーリソースを「仮想的な発電所」として束ね、効率的に電力をやり取りする概念です。
東日本大震災以降、電力需給の逼迫や自然由来の再生可能エネルギーがもたらす需給変動への対策として、VPPの取り組みが国の各種制度と技術の向上によって進み、大きな市場性を持つまでに至りました。
国内では2017年に国内の太陽光事業社が家庭用蓄電池事業に参入したことを皮切りに、2023年には大手電力企業がVPP専業の会社を立ち上げました。さらに2024年には、インターネット大手企業も蓄電池分野に参入を表明しています。
しかしVPPは、電力取引のプラットフォーム、アグリゲーション(需給調整)、蓄電池の製造・販売・メンテナンス、電力調整用クラウドサービスなど、多岐にわたるプレイヤーが関わる複雑なビジネスです。そこでビジネスレベルで理解するには、概況の理解だけでは足りず、しっかりとした見通しを持っておく必要があります。
参入において押さえておきたい「3つの見通し」
① マーケットとしての見通し
・国が掲げる制度の動向や支援策の把握
・自社が現在と今後、どの領域であればバリューが出せるのかの可視化
・競合他社の動向/新技術の進展/市場規模の見極め
② 蓄電池の価格動向の見通し
・価格変動を予測するために、国内外の生産状況や素材コストを分析
・市場動向を見極めることで、適正な投資タイミングを把握
・海外の動向を踏まえて、調達戦略とコスト管理に応用
③ 事業化への見通し
・先行している企業や競合他社の成功・失敗事例を分析
・自社の技術やリソースをどのように活かせるかを検討し、実行可能なプランを策定
・必要となる人材・システム・投資コストを試算し、リスクヘッジ策を用意
など3つの見通しを持つことで、担当者の事業への理解を飛躍的に高めることが可能です。
そこで本講座で、国内外のVPPビジネスモデルの比較として、先行する海外事例と国内事例を比較を通じて、ビジネスの全体像を理解します。そして蓄電池の進化や、再エネ普及の現状や電力需給の逼迫状況、政府支援策など、VPPを取り巻く技術的・制度的背景を解説します。さらにBtoB(高圧DER)、BtoC(低圧DER)の両面から、VPP事業者のポイントと、それぞれの事業領域における参入メリットや注意点を整理し、市場性を立体的に把握する力を養います。
このような課題をお持ちの方に
・VPPを新規事業として計画したいが、既存事業との繋げ方に悩んでいる方
・国の制度や各社の動きを調べたいが、情報が多岐に渡るため手が付けられていない方
プログラム
第1部 120分
VPPビジネスとは
- VPPとは
- 蓄電池と調整機能
- 海外企業の動向と事例
- 国内のRAとARのアグリゲーターの関係とトレンド
- 事業機会の把握のポイント
第2部 90分
アグリゲーターの事例(BtoB 高圧DER)
- なぜ今VPPは出来るようになったのか
- VPPのネットワークの構築の仕方
- VPPビジネスの難しさ(気候や国の制度/ 電圧の差による送電問題など)
- ビジネスを動かす上でのポイント
第3部 100分
アグリゲーターの事例(BtoC 低圧DER)
- 小売り向けのVPPとは
- サービス提供のポイント -EVや家庭用蓄電池と絡めて-
- 小売り向けVPPビジネスの難しさ(補助金制度や需要家への訴求方法など)
- ビジネスを動かす上でのポイント
レジュメ資料配布:あり
講師
【第1部担当】
株式会社三菱総合研究所
サステナビリティ本部 エネルギー・サステナビリティ事業本部 デマンドサイドイノベーショングループ
荒井 綾希子 氏
NTTファシリティーズにて電気設備の保守、メガソーラーの設計、地域新電力の構築に従事。その後、エネットへの出向を経て、小売電気事業や再生可能エネルギー小売メニューの企画・提供に従事。Looopでは、分散電源を活用したマイクログリッドの企画・構築を担当。その後、三菱総合研究所へ入社し、国内外における蓄電池やEV等の電力系統への統合に関する規制、技術、経済性等の調査・検討等に従事。
事業会社での豊富な実務経験を活かし、事業者の視点を重視した実現可能性の高い戦略立案や制度対応を支援。持続可能な電力供給の実現に向け、実務に根差したコンサルティングを提供。
【第2部担当】
E-Flow合同会社
事業推進本部長
南 洋充 氏
1999年4月関西電力株式会社に入社。主に系統運用部門に所属し、系統制御システムの開発や系統運用ルールの策定に従事。送電ならびに配電系統の現場設備管理職場を経験した後、2012~2019年、企画部門や契約部門において電力調達・FIT買取・調整力調達等を実施。2023年7月E-Flow合同会社に出向。VPP、再エネ、系統用蓄電池の運用受託事業と顧客開拓を担当。現在に至る。
【第3部担当】
株式会社Shizen Connect
プロダクトマネジメント部 部長
野倉 岳人 氏
名古屋工業大学大学院修了後、2014年TISに入社。
オンラインセミナーの注意点
【受講上の注意事項】
- 本講義は、オンライン配信講義となります。
- ご受講はお申込み者限りとしており、複数名での受講の場合、人数分のお申込みが必要です。
- 同一IDでの複数人での視聴・社内上映などは固くお断りしております。
- 会議室等で複数人が視聴する上映会は、著作権法第22条の2に定められている権利者の「上映権」を侵害する無断上映=違法行為となります。
- 違反行為が発覚した場合、法的対応を含む、しかるべき措置を取らせていただきます。
- 上記行為を指示された、または行っているということをご存じでしたら、通報窓口までご連絡ください。
- ご連絡いただいたことが外部に共有されることはありませんのでご安心ください。(通報窓口:seminar@kankyo-business.jp )
【お申し込み・キャンセルについて】
- 視聴の有無に関わらず、お申し込み後のキャンセルは一切、承っておりません。